ローン・レンジャー☆相棒は厄介な兄弟? [☆映画(Cinema)]
ジョニー・デップがインディアン(トント)を演じていると、少し美化してジム・ジャームッシュの「デッドマン」 を思い出してしまいましたが、コミカルさはジャック船長。大コケした「ブレイブ」なんて作品もあったっけ。
余計なお世話ですけど、映画館で「ブレイブ」を観ている間じゅう、映画監督という野望は捨てて、俳優業に専念したほうがいいなと思いました。
ところで、テレビで放映されていた時のトントは、地味で無口だったそうですが、そんなことなどトーンと知らない私は、頭のネジが外れたトントが気に入ってしまいました。大活劇とまではいかない活劇加減が可愛らしかったし、楽しめました。「キモサペ!!」=「厄介な兄弟?」~「キモサペ」は、「インディアン、ウソつかない」ではなかったのですね。期待通り、ヘレナ・ボナム=カーターも大胆不敵かつエロ可愛くてよかったです。
★★★☆☆
嘆きのピエタ□■□慈愛の輝き [☆映画(Cinema)]
象徴的に映し出される、『ハレルヤは永遠なり』という教会のサイン、「主の栄光」「永遠なる神の愛」というような意味もあるのでしょうか・・・。
憎しみと憐れみの板ばさみ
そして、子を想う母親の慈愛は、輝きに満ちて
嬰児の自分を捨てた母親だと名乗る、薄っぺらいシフォン地のような真紅のスカートをヒラつかせる女(オンマ)。
親の顔も名前すらも知らないで育ったという生い立ち。愛されたことがないから人を愛することができないということか・・・夫婦、親子の情愛も理解できず、ひたすら粗暴で冷酷な男(ガンド)。
ソウルの片隅、金属加工の町工場が立ち並び、不況と再開発の煽りからなのか?借金まみれの人ばかり?。高利貸しの取立てに追われながら、夜逃げもせず自分の身体を借金のかたにする人が続出?。 保険会社は保険金目的の事故(詐欺)だと思わない?。警察は何をしてるの?と、いくつものツッコミどころもあったけど。
機械や工具が虚ろに無気味な影を落としたかと思えば、神々しく光って生き生きと映し出されたりもして・・・その長けた扱いは元工員という経歴が成せる業なのか。
赤鶏が一羽、鰻が一匹、ウサギが一羽
キム・ギドクのこういう手練手管に弱い私
夜明けのハイウェイを走るトラックは、まるでゴルゴタの丘を上っていくようにも見て取れ、さもありなんな結末に驚くことはなかった。手元にティッシュとハンカチを用意をしていたけれど、悲しくて泣くこともなく。泣き虫な私も涙ひとつこぼれず。
でも、映画を思い出してその夜は、なかなか寝付けず(カフェインの摂りすぎも?)、母親の愛の深さ、慈愛の輝きに涙がハラリと頬を伝ったのでした。どうやら、あとから効いてくる一撃を受けてしまい、心が軋むように痛んでしまい・・・。
★★★☆☆+1/2★
☆天使の分け前☆スモーキーなフレーバーと幸せの"おすそ分け" [☆映画(Cinema)]
ウイスキーやワインなど、お酒を熟成したときに生じる、目減りした量のことを~【The Angels' Share】~『天使の分け前』とか『天使の取り分』と呼ぶそうで・・・そういえば、お正月に神仏にお供えしたお酒が、松が明けた頃に減ってると、神様や仏様が飲んじゃった!なんて言う→蒸発したんだけどね。
そんな可愛らしい名前の『天使の分け前』を"おすそ分け"してもらうべく、稀少なスコッチ・ウイスキーの上前を撥ねる(もっと悪く言えば、掠め取る)という、一癖二癖ある仲間たちのドタバタながらも、心あたたまる筋書き。
爽快に煙に巻いてくれる
大人のスモーキーなフレーバーを楽しめる作品
コカインに手を出し、デート中の青年に言いがかりをつけ、後遺症が残るほどの重傷を負わせたロビー。天使のような息子を授かり、妻子と共に平穏に生活したいと願っても、敵対する相手や妻の親族から妨害されるわ、仕事にも就けないわ。八方塞がりでいいことなし。もう、可哀想で目も当てられない。そんなロビーが出会った太っちょで面倒見の良いウイスキー愛好家のハリー。こんなハリーのような懐の広い大人な男性、最近ではめったにお目にかかれないようになっちゃって・・・悲しいかな、すでに絶滅危惧種。
映画を見終わったあと、幸せの"おすそ分け"をしてもらって、清々しい気持ちになれました。
★★★☆☆+1/2★
シュガーマン☆眠れる不屈のブルースマン [☆映画(Cinema)]
デトロイトといえば、モータウン
そのモータウン・レーベルの陰に不屈のブルースを歌うシンガー「ロドリゲス」が眠っていた 。
本国・アメリカでは無名。でも、南アフリカでは絶大な人気を博し、大ヒットを生み出したというのだから、月並みな表現ながら、事実は小説よりも奇なり。
すでに音楽活動からは遠ざかり、道路工事や家屋の解体などの肉体労働をしながら生計を立てていた男が、眠りから覚め見事に復活し、伝説を作り上げてゆく様がとても痛快でした
ドキュメンタリーがすすむにつれて、豊かな心を持つロドリゲスの紡ぎ出すメロディーと優しく切ない歌声が、アパルトヘイトの気運に乗じながらも、荒れすさんでいた当時の南アフリカで受け入れられたことが納得できたし、眠れる獅子が雄叫びを上げたかのよう・・・。
モータウンの傘下にあったというレーベルの得た印税は、どこに消えてしまったのでしょうか? 。鍵を握る狸な親父から胡散臭さが充満しとりました(笑)。親父が何気なくもらしたブッダ・レーベル【Buddah Records】の名?レーベルマークのブッダのにやけたお顔が、ふと浮かびまして・・・ありゃりゃ?。そちらに化けましたかな?
見事にはぐらかされましたが、それって『知らぬが仏』ってことでしょうかね。
このレコードジャケットのロドリゲスがブッダっぽい座り方をしているし??
タキシード姿で、工事現場の仕事をするというのだから、さながら、武士は食わねど高楊枝気骨ある姿に感動しちゃいました。
ブルースは金満家が、尤もらしくプレーしちゃイカーンですもん・・・銭金の問題ではないという姿勢のロドリゲスは崇高すぎます。
★★★★☆
□=■舟を編む■=□船大工の手仕事 [☆映画(Cinema)]
海は広いな大きいな 月は昇るし日が沈む
海にお舟を浮かばして 行ってみたいなよその国
言葉の大海へと繰り出す お舟をせっせと編む。
辞書の編纂という地道な手仕事(作業)を行なう船大工たちの船室。そこは、座礁など許されない聖域なのでした。
昨今は、私自身も紙の辞書ではなく、ほとんど電子辞書を使っているので、この映画で、あらためてその価値を感じとり、ちょっぴり切なくなりました。
そして、小学校の時に行なわれた字引(辞書引き)大会(コンテスト)なるものを思い出しました。それは、学校の図書室で行なわれ、普段は大トロとかカメさんと呼ばれるマイペースなのんびり屋な私が、なんと!?上位に入り、賞品(粗品程度)をいただいちゃったのです(鉛筆とかの文房具だったかな・・・)。国語は特段お勉強をしなくても悪い成績にならないので、大好きではありました。
馬締の松田龍平、香具矢の宮崎あおいは、言うことなし。虎柄猫(茶トラ)のトラさんの太っ腹な謎演技もよかったし。トラさんの落とし子のような寅次郎も可愛かったです。昔、家で飼っていて行方知れずになった雄猫に生き写しなキジネコを近所で見かけたときに、胸が熱くなったことをおもいだしました。
~トラさんの二世?寅次郎似のにゃんこ~
久しぶりに、大岡越前の加藤剛さん、昭和のお母様の八千草薫、渡辺美佐子の両小母様など、懐かしい顔が出揃っているからか、さらに雰囲気のある落ち着いた作品になっていたし。レトロ下宿の『早雲荘』もステキで、場所はどこだろう・・・本郷とか御茶ノ水の辺りかしら?とつい目を凝らしちゃいました。遊園地は「後楽園」しかなーいとすぐ分かったんだけど・・・。
「辞書」を「字引」と呼ぶのが好きです。
用例採取(言葉集め)にチャレンジしてみたくなりました。
それから、最近とても気になっている言葉遣い「恐らく」と「なるほど」について、松本先生にご意見を伺いたいです。「おそらく(恐らく)」は、強調した語感に思えて抵抗があるし、「なるほど」は女性が口にすると横柄な感じがするので、私はどちらも使いません。 →残念ながら、松本先生は故人となり、お聞きできませぬが・・・。
★★★☆☆
砂漠でサーモン・フィッシング☆ 太公望の夢は果てしなく・・・ [☆映画(Cinema)]
Take This Waltz☆ソープオペラの恋は、ワルツにのせて [☆映画(Cinema)]
Take This Waltz・・・カナダ人のサラ・ポーリー、自国の誇る詩人・小説家~シンガーソングライター。大御所のレナード・コーエンの曲をもってきちゃった。ニール・ヤング、k.d.ラング、そして・・・満を持してついに!!ということもないか。
主人公:マーゴのファッションは、ギンガムチェックのシャツやワンピース。それもクラシカルなラインでノスタルジック。無造作にモノが放り込め簡便な布製のトートバッグを肩にかけて・・・足元は黒いコンバース?。
無邪気なのか鈍感なのか分からない、危うげで曖昧で、だから当然、自身も白黒がつけられないグレーゾーンが気に入らないようで不安だし。既婚者には見えないし・・・。
ザ・バグルスの『ラジオスターの悲劇』がBGMで流れる遊園地の"絶叫とまではいかない遊戯マシン"。
ソープオペラ全盛期とラジオの時代が交差する。
結婚5年目だというから、「倦怠期」という言葉が相応しく。
結局は、マーゴの問題・・・あと数年は様子をみればよかったのに~結婚生活なんてそんなものよ。シャワーの不具合で苛立っていたことも、笑い話のひとつにすぎなかった訳だし。
ソープオペラの恋は、ワルツにのせて
ドラマッチックに、ぐるぐる廻るよ
でも、めくるめく夢心地な日々は遅かれ早かれ、必ず終わりを迎えるもの。
★★★☆☆+1/2★
夢売るふたり~ユー・メイ・ドリーム(You may dream) [☆映画(Cinema)]
『夢売るふたり』、劇場で予告篇を観たときから気になってました。なんたって、阿部サダヲ!!、それにどうやら福岡出身のような言葉を操る夫婦がアブナイ・・・危なすぎると思ったら、タイトルがじぇーんじぇん覚えられず、いつしか頭の中で「危険なふたり」になっていました。危うく、映画館の窓口で「危険なふたり・・・」と口をすべらせそうになって。
阿部サダヲは、福岡のメルパルクホールで『人間風車』を観劇したときからぞっこんしている役者さんだし。
松たか子は、お母様が福岡市内のご出身だけあってか、凄みを持たせた博多弁を喋らせたら、バリうまいったいー。
どうやら、この危険なふたり組(夫婦)は、九州は福岡から上京し、お店(いちざわ)を開いていたようだけど、駆け落ちの類もしくは、地元に居られない何らかの事情があるような感じも・・・原因はたぶんに里子にあるのではないかとゆうような、想像をかきたてさせてくれるのでした・・・。もしくは、博多の料亭のお嬢さんだった里子が板前の貫也と手に手をとって・・・「包丁一本晒に巻いて~♬ 」のような?。
そこそこ繁盛してる店なのにアルバイトも雇わずにいるから、ほーら、ごらんなさいな、板場から火を出してしまうのよ・・・。腹立ち紛れに燃やした、一万円札は、日銀で交換してもらえたの?などと突っ込みどころも満載。
里子がお膳立てをする「足りん足りん~資金調達作戦」
結婚した女が結婚したい女を騙すため、夫に伝授する手練手管の数々が痛快であり痛々しくもあり・・・ゲラゲラ笑えて、もの悲しくもある、「ユー・メイ・ドリーム(You may dream)」なお話なのでした。小料理「いちざわ」のシンボルマークの千成ひょうたん、「瓢箪から駒が出た?」と期待したのですが・・・そこがまた面白いところ。
★★★☆☆+1/2★
きっとここが帰る場所~『お帰りなさい! 私の息子』 [☆映画(Cinema)]
~きっとここが帰る場所~
This Must Be The place
実をいうと、デヴィッド・バーンめあてでした・・・。 御髪が、シルバーになっても相変わらず渋いし、カッコイイ。でも、予告篇の"お化粧をほどこした"ショーン・ペンの姿には「??」。
ロードムービーは、好きなほうなので、それなりに楽しめましたが、監督のデヴィッド・バーンへの肩入れぶりが随所にうかがえまして・・・。え、これ『 トゥルー・ストーリー』のシーンによく似てないかしら?ってな調子でございました。
白雪姫と鏡の女王☆毒リンゴはいかが? [☆映画(Cinema)]
黒目がちで、「ローマの休日」のオードリー・ヘップバーンを彷彿とさせる可愛らしい容姿なんだけど、ゲジゲジ眉毛が、今にもつながりそうな勢いのお転婆姫な白雪姫を演じたリリーちゃんは、フィル・コリンズの愛娘なのだと、あとで知って「わーっ」。