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Away From Her [☆映画(Cinema)]

away from her.jpg 映画監督で誰が一番好きか?と尋ねられれば、「フランソワ・トリュフォー」と答える私です。だから、『華氏451』の女優で、大好きな曲Kinksの「Waterloo Sunset」の登場人物テレンスとジュリーの「ジュリー・クリスティ」が出演!、その上「ニール・ヤング」の曲が2つも使われているときたら、外せませんよ~とばかりに映画館へと・・。

これ、独りで観にいって正解でした。間違っても夫婦で観ないことをお勧めします。アルツハイマーに侵されてゆく妻と夫の愛の物語なんて容易いものじゃありません。

『アイリス』(アイリス・マードック)=ジュデイ・デンチの演技は素晴らしかったけど、これは男性の回顧録だし、若年性のアルツハイマーを扱った『私の頭の中の消しゴム』はストレートで泣けました。でも、この作品は監督サラ・ポーリーが見事に女性側からのメッセージを贈りつけてくれました。完全に他とは一線を画した作品です。

挿入歌「Harvest Moon」がどこで使われるか、興味あるところで・・。夫が妻にアイスランドの本を読んで聞かせるシーンで「シナモン・ビーンズ」って!「えっ、Cinnamon Girlのこと?」とつい反応してしまう私。"いかん、ニール・ヤングは忘れなきゃ!"。夫(グラント)が妻(フィオーナ)を介護施設へ車で送る時に「Harvest Moon」 が流れます。憎いくらいに絶好で物悲しくも美しいシーンになっていました。

施設に送ってくれたものの、なかなか帰ろうとしないグラントにスタッフを介してフィオーナが渡したメモ、「Go now, I love you, Go now」いやこの走り書きも凄くよかったです。つい、同じく子供のいない夫婦である自分たちを重ねてしまいました。

施設に入所して一ヵ月後、グラントはフィオーナが「自分を忘れている」ので、彼女は「Charade」=シャレード(字幕では演技と出てました)しているのではないかと疑います。でも、フィオーナは病気になる前から無理にシャレードしていたのでしょう。(忘れたフリをしてあげる事は、時として必要だから・・。)結局、時々記憶がよみがえることはあっても、シャレードしていたのではないかな?と私は思いました。

男の人は年を取っても変われない。フィオーナはグラントの本質がよく解っているから、彼のことを愛しているからこその「シャレード」・・。グラントは、わざと女性の名前を間違ってみせたりする(気のないそぶりを見せる)子供っぽい人、おまけに女からの押しに弱いときているのです・・・。

エンディングの「Helpless」ですが、二ール・ヤングではなくk.d.ラングが歌っている・・妻から夫へ「もう、あなたって救いようのない人ね。お手上げだわ。」と・・。そう言ってるような気がしました。

フィオーナの「Lovely」の言い方、言葉遣いがエレガント(英国風?)で素敵でした。ジュリー・クリスティ、年を重ねてもお綺麗です!。 サラ・ポーリーはこれが長編デビュー作なんて信じられない出来栄えです!~★★★★☆


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