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扉を叩く人=the Visitor= [☆映画(Cinema)]

予告編を見た時は、あまりピンとこなかったけど、ジャンベ奏者のアフリカ人青年が、白人の大学教授に『考えて叩いてはダメだ』と言う台詞があると、新聞の記事で(映画レビューではなく、"リズム感"について)読んだこと・・・これが観に行く決め手になりました。

扉を叩く人.jpg

タレクとウォルター[るんるん]

 『Think』しないとこんな素敵な表情でプレイできる

5月に観た『バーン・アフター・リーディング』でもいい味を出していた俳優の「リチャード・ジェンキンス」が大学教授のウォルターを演じていた。今まで名脇役と呼んでいたことを躊躇わせる、素晴らしい演技の俳優さんです・・・。

妻に先立たれた年老いた男。ピアノのレッスンを受けても教え方が気に入らないのか、人を選んでいるのか長続きしないでいるのは頑なな心のなせる業なのか・・・。熱意のない大学の講義は惰性そのもの。そう、彼はどこにでも居そうな頭でっかちの面白みのない小父さんだった。

しかし、音楽を通じて文化の違う人々との交流が深まる。

おそらく、長年クラッシックしか聴いていなかった彼が、シリア人青年のタレクと知り合い、太鼓・ジャンベのリズムにより閉ざされた心の扉が次第に開かれてゆく・・・。彼自身が太鼓を叩くことにより、身も心も開放され、甦ってゆくというストーリーは、アフリカン・ドラム好きの私を喜ばせるものでした。

ジャンベという楽器を知ったのは今から20年位前のこと。実際に見たのはセネガル人の知り合いのお宅にお邪魔したときでした。当時「ジンベェ」って聞いたので、「ジンベェ=甚平」って覚えましたが、最近では一般的に「ジャンベ」になっているようです・・・。

「大学の先生は頭がいいはずだ。でも考えて叩いてはいけない。」タレクの言葉は最高・・・[ぴかぴか(新しい)][ぴかぴか(新しい)]

太鼓のリズムは人の心を強く揺り動かすものだと私は思います。叩くリズムにより、高揚させたり落ち着かせたり、喜怒哀楽すべての要素があるから・・・。

地下鉄の構内で悲しみと怒り、そして去った人へ愛を込めて太鼓を叩くウォルターの姿が、とても印象的なラストシーンだった・・・。

Open & Close/Afrodisiac フェラ・クティの名前すら知らないウォルターにタレクが聴くように勧めたCD

素直に再生機に入れ、フェラ・クティを聴くウォルターがとても可愛かった。 

タレクのセネガル人の恋人・ゼイナブが手料理を振舞うシーンがあって、鶏肉か羊肉を使った「マフェ」や「ヤサ」かなと思ったんだけど、ごく普通のお料理風でナイフ&フォークを使って食べていた・・・。 大皿盛りにしてスプーンや手で直接食べたりしていなかった。その辺りの「食」の表現が物足りなくて、ちょっと残念だった~。でも、ゼイナブはタレクとの会話はフランス語で、タレクの母親とは英語だという点。公用語の違いで、彼女はアラビア語が喋れないから~全体的にとてもよくできたお話で、心に残る秀逸作だと思いました。

『ただ、自由に生きて、音楽を演奏したい』と願うも・・・哀しいかな、タレクのような若者が実在していると思うと、胸がしめつけられそうな思いになりました・・・。★★★★☆


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