琉球芸能の美と心 

組踊≪執心鐘入≫

 
琉球音楽の優雅な旋律とあでやかな衣装

たおやかな所作の踊りを楽しめた公演



           宿の女)

 

 組踊の演舞を観たのは昨年10月のことでした。





(2019年10月13日(SUN.)J:COMホルトホール大分 大ホール)



『日本のヤバい女の子』 のなかに『変身とヤバい女の子=清姫(安珍・清姫伝説)』があって、「組踊≪執心鐘入≫」は、この物語がもとになっていることを思い出しました。安珍役は、「中城若松」という名前なんだけど、肝心の清姫役には名前がなく、「宿の女」なのよね。名無しの「女」少し哀れ。この琉球版の物語の「若松」は、「女」から執拗に言い寄られても「頑なに断って逃げた」という話になっているの・・・。

 ところが、安珍と清姫の仲について、この本の筆者によると、「あの夜に何があったのかは、二人にしかわからない。」って・・・。この視点がなかなか面白いなぁと思うのです。文楽の≪「日高川入相花王」~渡しの段≫の清姫の「ガブ」なんかで、わたしは単純に楽しんでしまっていたけど、清姫の安珍に対する執念というものは、「ただのストーカー女」じゃ片付けられない、どす黒くて深い闇ってものが、存在しているからかもね。

第二弾の 『日本のヤバい女の子 静かなる抵抗』 のほうも、筆者「はらだ有彩」の独断と大胆な「日本のヤバい女の子」たちの解説と付帯する話がパワーアップして、爽快に噛みついているようでした。 お馴染みの「八百屋お七」「松浦佐用姫」や「炭焼長者の妻」などが特に面白かったし、「尻を出した娘(鬼が笑う)」という知らないお話もあって、楽しめました。ただ、前作より力が入り過ぎていて、熱意のあまりか、くだくだしい説明が続き、少々辟易してしまったりも・・・。

 中学・高校時代を神戸の女子校で過ごしたという筆者。女子校で培われた気質なので、ユニーク。前作の『「スクール・カースト」の大部分は容姿に由来する』説や個人的に共感する「女子校あるある話」もあって、同じく女子校出身者として、とても親近感が持てています。