私が初めて映画館#58999;で観たルキノ・ヴィスコンティの映画、それが~ベニスに死す~。今回、このヴィンテージ・フィルムの上映に満を持して出かけてきました。

美しいもの好きな私は、ビョルン・アンドレセンの美貌に魅かれてたわけで、物語の筋は理解できなくても良かったのです・・・。

もちろん、のちに知ったけど、この作品の前にスクリーンでビョルンには出逢っていて~そう、「純愛日記」です。その時は、名前すら知らなくて、主人公の男の子のワル仲間の美少年。お世辞にも可愛いといえない女の子といちゃつく・・・という役。

4年前に「純愛日記」上映を再び見たとき、「やめて!こんなブスと!」って、心で叫んでた・・・思い起こせば、当時ティーンエイジャーになったばかりの時もそうだったっけ・・・。

1~2年前になるかしら?、インターネットでビョルンを調べたら

彼の近影が載せられていて

五十歳を過ぎた姿を目の当たりにし

『美しさとは、儚くも残酷なものだ』と思いました。

デジタルではなく、フィルムでの上映だったので、映画が始まるときの「バリ、バリッ」という音がなんとも懐かしかったし、記憶の中の色調はもっと白かったので、温かみある色だったのだと認識できました。#59126;とはいえ「フイルム」と「デジタル」の違いが正直、よく分かりません。『アーティスト』もフィルム上映だったらしいのですが・・・orz。

フィルムとデジタルの違いというのは、レコード盤とCDの音質の違いと同じ様なものかな・・・。

ホテルのロビーや部屋に飾られた、色とりどりの花々は生花のはずなのに、生気をなくしたインテリアと化し。特に青や赤の紫陽花が艶やかでいて、刹那的。貴婦人たちの服装やしぐさの数々や身につけたジュエリー(パールのネックレス)の・・・その装い方が見事と、こちらの目線も年齢を重ねただけ違ってきたりも・・・アコヤに淡水、白蝶真珠と、ともすると下品になりがちなパールの重ね使いが、なんともエレガント#59126;。

「芸術は純粋だ」という作曲家=アッシェンバッハとその対比にある下世話な歌を奏でる辻音楽団の男とのやりとりが好きです。今にも朽ち果てそうになった(高尚な音楽を作っていた)大家を、まともに相手にするのは、彼が卑下してきただろう大衆音楽で日銭を稼ぐ人だったのですから・・・。元宮廷歌手(ロシア人)のマーシャ・プレディットの歌う子守唄(ムソルグスキー)が静かなる気迫を増長させたのも、映画館ならではのことだと思いました。

1981年に買った『ヴィスコンティ秀作集Ⅰ~ベニスに死す』(新書館)=定価1,800円。初版発行#59130;オヨヨヨっ・・・ちゃんと読んでいなかったので、今更ながら熟読してみようと試みております・・・。

本の帯に「自己の目で美を凝視したものは、すでに死の祭壇に供えられている」と小難しいことが書かれておりますけど。