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たくあん談話 [☆映画(Cinema)]

『たくあん談話』
原節子・たくあん.jpg
映画「晩春」の紀子(原節子)
「(ところが)あたし、ヤキモチ焼きよ」「だって、あたしがお沢庵切ると、いつもつながってるんですもの」
 
 コロナ禍前のこと。地域の集まりがあって、おにぎりを作ったり、お沢庵を切ったりすることがあった時、私が「切った、たくあんが繋がってると、ヤキモチ焼きとかいう」と言ったら、年上の奥様方も、誰も「そんな話は知らない」っていうの、ご存じないって・・・。ありゃりゃって感じになった。
 うちの父は、繋がったたくあんを見つけると「お母さんはヤキモチ焼きだから」とニャニャ笑っていたし、母は「急いで切ったからね」とか「包丁の切れが悪いから、包丁研いでて」とか言ってた(父は包丁研ぎが得意だったし)。
 それは、我が家では、日常会話って感じだったのだ。
 
 親友からぬか漬けのキュウリ(切ったもの)をおすそ分けしてもらったことがあって、そのキュウリがつながっていたので、おすそ分けのお礼のついでに「つながってたよ~」と言ったら「あーら、ヤキモチ焼いちゃってたぁ~沢庵が繋がってるとヤキモチ焼きって言うね」と話したこともあったのだ。ほぼ、言い伝えレベルだと思ってたんだけど、世間では一般的じゃないようなのだ・・・。
 
 この「たくあん談話」の出どころは、小津安二郎監督ではないかという説があるような、ないようななので・・・。
 
映画「晩春」DVDにて再検証
「そう、包丁がよく切れないの」
原節子・晩春.jpg
ほぼ、うちの両親の会話ではないか(!!)
 
 小津安二郎監督の映画が好きだったという父だから当然のこと・・・。両親は、小津安二郎作品を見ている年代でもあるし。ふたりの「たくあん」をめぐる会話を思い出すと、映画のシーンがベースになっているようで、微笑ましくなってしまうのだ。映画っていいものだ。
 それに親友もわたしと同様、親から聞いたことなんだろうと思う。「たくあん談話」は、映画によって次の世代をも繋げているような気がする。「繋がったお沢庵」のように・・・。