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気がつけば「左党」 [☆酒肴明媚]

左利きではないのに、お酒をいただくときは「左手」を使っていた。
気がつけば「左党」
お酒呑みの隠語である「ノミ手」だった・・・。
 そして、雑巾を絞る時に左手が上になる。高校生の時に、正しい絞り方をしていないから、絞りがあまいと言われ、右手が上になると知ったんだけど、左手呑みもそれに関連しているのかもと思う。
 気づいた時に、雑巾絞りの逆手を順手に修正するんだけど、習慣はなおりにくいものだ・・・。
山水.jpg
日田の銘酒・老松「山水」(瓶とラベルが変わった)
 
 もうこれは、癖なのだろう、右側に置かれた(置いた)グラスやお猪口は、飲んでるうちにノミ手の左側に移動している。
 右手で酒器を持たないから「右手に焼き鳥、左手にビールグラス」「右手に枝豆、左手にビールジョッキ」という具合。実に効率のよい吞み喰いをしていたのだ。
 今さらだけど、差し向かいで飲んでいると、グラスを間違えられることが多々あった。わたしの左置きが、原因だった。
 
 左手呑みは、父親の影響ではないか?と思った。晩酌は、好んで「手酌オンリー」だった父は、左側にグラスやお猪口を置いていたように記憶しているから・・・。
 酒宴の写真で、検証すべくアルバムを開いてみたところ、4割がた左手使い(ラガーマンは、左手でビールグラスを持つのがマナーとか。でも、父はラグビーとは無縁だった)。あとの6割は、右手で酒を酌み交わしていた。両刀使いだったのだ・・・。
 ついでに私自身の写真を検証すると、どれも左手呑み。板についた使い手なのだ。
 
武士は右手で盃を呑むとか、江戸時代の侍(浪人)は左手だとか・・・。 
 相手に敵意がないことを表すため右手を使うとか、すぐ刀を抜けるように左手とか。
 
マナーの云々、右手でも左手でもいいんだけど
こうなると、左手で呑む人が、とても気になってしまった。
 
小津安二郎の映画『秋日和』で
未亡人の秋子(原節子)は「左党」だった。
秋日和1.jpg
娘のアヤ子(司葉子)と『若松』で外食
「勿体ないから、飲んでしまいましょ~!」と
慣れた手つきで、ビールをお手酌
秋日和2.jpg
グビッと美味しそうに召し上がっていた。
 
 『麦秋』では、紀子(原節子)の友人宅兼店舗の『田むら』で、会社のエロい上司・佐竹(佐野周二)が、お酒をすすめてきた。紀子は、左手でお猪口を受けて呑み、ご返杯した。
 女性が、左手で呑むと色っぽかったり、上品に見えるのではなかろうか?。これは小津監督の演技指導ではないかと思えてきた。
 
『早春』の「煮ても焼いても食えない・キンギョ」
早春の岸恵子.jpg
個室のある「お好み焼き屋」で
グラスのビールを左手に持って、グビッ・・・。
妻帯者の杉山(池辺良)を誘惑するキンギョ(岸恵子)
(いけ好かない役が、とってもお似合いだわっ)
 
細かな演出の小津安二郎監督の指示によるものなのか?
と、思っていたら・・・。
秋日和3.jpg
『小早川家の秋』のDVD特典・監督を囲んでの一枚
 右端の原節子は、大好きだったというビールのグラスを左手で持っている。
板についている様子の原節子であった。
 ということで、左手呑みの「左党」を「原節子呑み」としましょ・・・。